2024年1月23日に欧州委員会 保健衛生・食品の安全総局(DG SANTE)から提案されたMDR/IVDRの改正法案は、2024年2月14日に実施されたEU理事会で修正無しに承認されました。早ければ2024年4月のEU本議会で可決承認され、2024年5月以降の官報(オフィシャルジャーナル)掲載で法改正となる見込みです。改正法案の要約は以下3点です。
1.EUDAMED 使用開始ルールの変更
- 現状:EUDAMEDは6モジュール全て稼働後に監査→官報告示→6ヶ月(一部は24ヶ月)の移行期間を経て義務化
- 改正案:稼働モジュール個別検証を行い、MDCGと欧州委員会が協議した上で6ヶ月後の義務化
→(臨床検査&パフォーマンス研究モジュール:CI&PS以外の)先行する5つのモジュールは、2024年7月から監査を行うことが決まれば、現行発表(UDI/認証モジュールは2029年第2四半期)の予定は、大幅に前倒しとなり、UDI登録の義務化が始まります。またVigilance(市販後調査)モジュールのPSUR報告には、UDIデバイス登録が必須で、特に高リスククラス(Class III/D、Class IIb/C)製品は、NBの確認作業によりEUDAMED上で「登録」ステータスとなります。2024年4月現在、NB側の確認作業がスムーズに実施されていない状況の中、確認作業期間も考慮した上でUDI登録を進めて行くことが医療機器メーカー側に求められます。
2.高リスク製品供給停止の通知義務
全ての医療機器、体外診断用医療機器とも、高リスク製品の供給が一時的または恒久的に中段する場合に、製造事業者は、規制当局や医療機関に事前通知することを第10a条として、MDR(Reg(EU) 2017/745) / IVDR(Reg(EU) 2017/746)にそれぞれ追加する案
3.IVDD製品の認証期限延長
「IVDD自己宣言品の中で、IVDR認証が必要な機器」について、2022年1月の改正によりリスククラスに応じて最長2027年5月26日まで延長されましたが、「IVDD認証品かつIVDR認証が必要な機器」は対象外となっていました。今回の改正案では、
(1)IVDD認証品かつIVDR認証が必要な機器は、下記条件で2027年12月31日まで移行処置期限を設ける
- 2022年5月26日時点で、有効なIVDD認証書があり、現時点で撤回されていないこと
- 2025年5月26日までに、製造業者がIVDRに基づくQMSを導入していること
- 2025年5月26日までに、NBにIVDR適合性評価申請を実施していること
一定の条件を満たしていれば、IVDDの認証期限が切れていた製品も2027年12月31日まで有効となる場合があります。
(2)IVDD自己宣言品の中で、IVDR認証が必要な機器の延長期限案は、
- Class D: 2027年12月31日 (従来期限:2025年5月26日)
- Class C: 2028年12月31日 (従来期限:2026年5月26日)
- Class B 及び Class A滅菌: 2029年12月31日(従来期限:2027年5月26日)
となります。適用条件は、
- 2025年5月26日までに、製造業者がIVDRに基づくQMSを導入していること
- 分類ごとに定められた日(Class D:2025年5月26日、Class C:2026年5月26日、Class BとA滅菌:2027年5月26日)までに、NBにIVDRの適合性評価申請を実施していること
- 分類ごとに定められた日(Class D:2025年9月26日、Class C:2026年9月26日、Class BとA滅菌:2027年9月26日)までに、製造事業者とNBがIVDRの切替申請手続きの契約を書面で締結していること
以上3点の法改正となる予定です。
◆Vigilanceモジュールに関する投稿はこちらからどうぞ◆
Vigilance(市販後調査)モジュール・・・ VigilanceモジュールとPSUR対象リスククラス
Vigilance(市販後調査)モジュール(2)・・・ PlaygroundサイトでのVigilanceモジュール
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