EUDAMED v2.13 リリース(11/22)

 EUDAMED Production サイトは、2023年11月22日に更新され、最新バージョンはv2.13となりました。「UDIモジュール」にも新規追加、変更、修正が加えられています。新規追加では、MDR/IVDRの新規制デバイスと、MDD/AIMDD/IVDDのレガシーデバイスの関係を手動でリンクを作成できる機能が追加されています。変更では、EU未出荷(No longer placed on the EU market)製品の登録ができるようになりましたので、レガシー製品含む広範囲なデバイス登録ができるようになったと考えられます。また、DTX接続/XML Bulkアップロードの項目定義となるXSDスキーマが、今回の更新でv2.0.11に更新され、複数の問題点が改善されました。詳細はリリースノートをご確認ください。

 また、今回のリリースに伴い、データディクショナリ(項目定義書)v2.13に更新されました。こちらも併せてご確認いただくと良いと思います。

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EUDAMEDリリーススケジュールの変更予定を発表

2023年10月 EUDAMEDモジュールのリリース時期、登録期限などに関する変更の案内が発表されました。今回の発表では、ドラフト(下書き)版としての公開ですが、EU加盟国の各管轄当局(CA)とスポンサー(SP)向けモジュールである「臨床調査とパフォーマンス研究(Clinical Investigation & Performance Study(CI&PS))」が、「2026年第3四半期(7-9月期)」までリリース延期される見込みとの内容です。一方、UDIデバイス登録、NB認証含む残りの5モジュールについては、「2024年第2四半期(4-6月期)」 までにリリースされる予定で、欧州委員会の監査も「2025年第1四半期(1-3月期)」までに完了する見込みとなっています。

EUDAMED全モジュールの期限は、6モジュールすべての監査完了(今回発表されたタイムラインでは、「2027年第1四半期」)し、EU官報に掲載(同、「2027年第2四半期」)されてから、①アクター登録、④臨床調査、⑤市販後調査、⑥市場監視モジュールは6ヶ月間の移行期間、②UDI登録、③NB認証は、6ヶ月+18ヶ月後の24ヶ月間を移行期間とすることが法律で定められているため、「臨床調査とパフォーマンス研究」モジュールのリリース遅れは、全体スケジュールに影響を与えることとなります。

製造事業者(MF)、システム&プロシジャーパック事業者(PR)が利用する、「①アクター登録」、「②UDI登録」、「⑤市販後調査(Vigilance)」モジュールの全機能は、来年(2024年)中頃には利用できる予定ですが、UDI登録作業含む、製造事業者の利用に影響を与える可能性も考えられます。

アクター別のEUDAMEDモジュール利用範囲

EU全体での動きとしては、MDR/IVDRの法律に則り、上記スケジュールとなりますが、一方で、ドイツは、すでにアクター登録によるSRN番号の取得、アイルランドの管轄当局は、リスククラス1の医療機器と、IVDの通知は、「EUDAMED経由で提出」を要求するなど、加盟国、管轄当局によってEUDAMEDの利用度合い(義務化)が異なっています。さらに、国内で医療機器データベースをすでに運用しているイタリア、ハンガリーなどは、既存システム(MDR/IVDR未対応)をいつまで維持するのかの判断を迫られている状況に変わりはありません。

医療機器メーカーがEUDAMEDにUDI登録するきっかけとなるイベントとしては、

  • MDR/IVDR製品の認証取得時
  • レガシーデバイスの延長手続き完了時
  • PSUR「定期的安全性最新報告書」作成時
  • インシデント・レポート作成時

などが考えられますが、UDI登録の必要度合いは、EU全体のスケジュールだけではなく、販売(流通)市場が、EU加盟27か国及び、EFTA加盟国、イギリス領北アイルランド、トルコなど対象となる国・地域により異なります。いずれにしても、UDI登録に必要な項目理解やデータ収集などの登録準備に、一定期間が必要となることは従来通りとなります。

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Vigilance(市販後調査)モジュール (2)

EUDAMED Playground(テスト)サイトでは、version3.x より、Vigilance(市販後調査)モジュールが追加されています。欧州委員会のサイトにあるVigilanceモジュールの概要資料はこちらです。

製品に問題が生じた場合の報告レポートである「Vigilanceレポート」と、リスククラスにより報告頻度は異なりますが、定期的に最新状況の更新報告を行う「Post Market Surveillance(市販後調査報告)」に分けられていて、

Vigilanceモジュール内のレポートの種類
Vigilanceモジュール内のレポートの種類

PlaygroundサイトのVigilanceモジュール内でも、レポート作成時に下記のようなテンプレートが用意されています。

Vigilanceモジュール:レポートテンプレートを選択するページ

MIR(製造事業者インシデント・レポート)の作成では、提出先の各国管轄当局(Competent Authority)を選択し、事故/不具合内容、原因、影響、対処方法などを記入する欄が設けられています。レポート作成には、「Basic UDI-DI」または「UDI-DI」で製品を特定する箇所もあるので、UDIモジュールでの製品登録作業が事前に必要となります。また、定期的安全性最新報告書(PSUR)の対象となるリスククラスIIa、IIb、III製品も同様となります。

◆Vigilanceモジュールに関する投稿はこちらからどうぞ◆

Vigilance(市販後調査)モジュール・・・ VigilanceモジュールとPSUR対象リスククラス

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Master UDI-DI の取り扱いに関する法改正

2023年7月20日に「Master UDI-DI」の取り扱いについて、EC(欧州委員会)のサイトに正式文書が掲載されました。

Master UDI-DI」の対象は、コンタクトレンズ製品(標準市販品、及びオーダーメイド品)と定義されています。「Master UDI-DI」とは、コンタクトレンズの項目属性である、BC(ベースカーブ)、DIA(直径) が同じ設計のものは、「Master UDI-DI」としてUDI管理できるコード体系です。コンタクトレンズの「UDI-DI(GTIN)」は、BCDIAに加え、

  • PWR:ー、ADD PWR:+(度数)
  • CYL (円柱形)
  • AXIS(円柱軸)

等の属性により割り振られている場合が多いですが、EUDAMEDへのUDI登録数が膨大になることを鑑み、BCDIAが共通の製品は、「Master UDI-DI」として一括りでUDI登録可能となる仕様変更(法律改正)となります。これによりコンタクトレンズメーカーは、登録負荷が軽減される一方で、「Master UDI-DI」コードというEU独自の管理コードを附番、管理していくことになります。発効日は、EUオフィシャルジャーナル(官報)から20日目、実施期限は、発効日から2年後となります。

Master UDI-DI」による「Basic UDI-DI」、「UDI-DI」との新しい関係図

GS1データマトリックスによる2次元バーコードで、「UDI-DI」及び「UDI-PI」値を表示している場合は、将来的には「Master UDI-DI」の値を追加するような表示変更が必要となる場合があります。現時点では、GS1コードで「Master UDI-DI」を表現するAI値(アプリケーション識別子)が未定義のため、「UDI-PI」に「Master UDI-DI」を表現する方法はありません。GS1側で「Master UDI-DI」のAI値が定義された後、「UDI-PI」の一つに「Master UDI-DI」を表す「(xx)Master UDI-DIコード」をGS1データマトリックス上で表示、管理できるようになる予定です。

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2023年10月19日(木),10月26日(木)オンラインセミナー申込受付中

EUDAMED、GUDIDなど含む複数国で「UDI登録」を規制当局から求められている医療機器メーカー様の課題は、各国に対応するUDIデータを効率良く、正確に準備・登録し、また、データ管理を簡略化していくことです。

ヘルスケア分野向け専門セミナーを企画・運営している(株)情報機構 様のオンラインセミナーにおいて、UDI登録の課題に取り組む企業様向けに、以下の2つのセミナーを、弊社担当で実施させていただくこととなりました。詳細及び申込はリンク先を参照してください。

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1.EUDAMED(欧州医療機器データベース)UDIデータ登録にどのように取り組むべきか
~DTX接続による国内企業の実施例から、登録準備、注意点などを解説~

EC EUDAMED対応:2023年10月19日(木) 13:00-17:00

EUDAMEDへUDI登録を実施するにあたって、DTX接続環境での登録作業の経験を元に、準備事項、注意点、進め方などを解説するとともに、EUDAMED UDIモジュールに登録された実例をご覧いただくことで、EUDAMED利用に関する理解を深め、実践に役立つ内容となるよう準備を進めております。

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2.米国FDA GUDID(グローバル医療機器固有識別データベース)への効率的なデータ提出・管理方法の実現に向けて

FDA GUDID対応:2023年10月26日(木)13:00-16:30

GUDIDへのUDIデータ登録・提出には、GUDID Webアプリと、HL7 SPLによるxmlデータの提出方法があります。複数製品の一括登録・変更可能なHL7 SPL方式での登録・提出を実施する国内医療機器メーカーの経験を元に、GUDIDへの登録準備、データ提出時・更新時の注意点、作業ステップなどを解説する内容で準備を進めております。

セミナーはZOOMによる配信セミナー方式で実施します。見逃し配信もありますので、後日、ポイントのみの確認などにもご利用いただけます。

受講申込にあたり、受講料が「11,000円引き(税込)」となる講師紹介割引コードがあります。申込の際に

講師紹介割引番号:C-704

をご利用ください。

1社2名様以上で受講の場合は、講師紹介割引と同時申込割引を併用できますので、1名様につき「13,200円引き(税込)」となります。

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EUDAMED DTX接続設定の変更

2023年6月にリリースされたEUDAMED v2.11 からDTX接続時の手続き方法が大きく変更されました。これまでは、EUDAMEDアクター登録サイトで発行できるM2M「TOKENコード」を接続するサードパーティ事業者側に登録すれば、EUDAMEDとの通信(UDI送信等)が可能でしたが、セキュリティの観点からTOKENコード設定だけでは不十分との判断により、v2.11の更新で「より厳密な」環境設定が求められるようになりました。

主な変更点として、

1.Playgroundサイトへの必要文書のアップロードと、テストの実施

2.Productionサイトへの必要文書のアップロードと、EUDAMED側の承認

の2点となります。リンク先はEUDAMEDのPlaygorund、Productionの各「ユーザーガイド」です。

必要文書には、アクター(医療機器メーカー様)と、サードパーティ事業者が契約していることを証明する「3rd Party Agreement」(双方のサインが必要)と、アクターがサードパーティ事業者を通じてEUDAMEDへ送信することを宣言する「Business Justification」(アクターのサインが必要)があります。また、Productionサイトには、テストが完了したことを証明する「Proof of Testing」(XMLの送信、返信コード)のアップロードが求められます。

これまでEUDAMEDでは、Playground(テスト環境)の利用については任意となっていましたが、今回の変更により、DTX接続で利用する場合は、Playgroundへのアクター登録とUDIのテスト登録が必須となり、上記の書類をアップロードしてEUDAMED側に承認されてからProduction(本番環境)を利用できるようになりました。

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EUDAMED準備のためチェックリスト

アトリファイ社のHP内に掲載されたEUDAMED準備における10個のチェックリストについて、翻訳文を掲載します。

原文投稿は、下の画像にリンクをつけてあります。

EUDAMEDの準備を簡単に: 10の重要なステップを含むチェックリスト
2023年5月19日

1.EUDAMEDの範囲と目的の理解:
最初のステップは、EUDAMEDを構成する6つのモジュール、その目的、定義、相互作用を全体的に理解することです。
ーEUDAMEDは、米国GUDIDのような単なるUDI登録データベースをはるかに超えていますー

2.関連する規制の理解:
EUDAMEDは、「MDR」および「IVDR」の重要な要素です。時間をかけて要件、期限、コンプライアンスへの取り組みに影響を与える可能性のある更新や修正など、規制をよく理解してください。
ー規制の改正、委任された法律、実施法、および欧州委員会によって発行されたガイドラインを含みますー

3.自社の義務と役割決定:
メーカー、欧州代理人、輸入業者、その他役割など、EUDAMEDシステム内での役割を決定します。
規制要件を確実に遵守するために、自社の役割に関連する具体的な義務と責任を理解してください。

4.デバイスデータの収集と整理:
UDI-DIBasic UDI-DI、製品の詳細、ラベル、臨床証拠など医療機器に関連する必要なすべてデータを収集します。
この情報を整理するための構造化されたアプローチを開発し、EUDAMEDのデータ提出要件に容易にアクセスできるようにします。この分野の独自の経験を活用したatrifyの項目分析サービスは、どのデータがまだ不足しているかを特定することに役立ちます。

5.堅牢なデータ管理システムの実装:
EUDAMEDに必要な情報を取得、保存、更新するための堅牢なデータ管理システムを確立します。
ご使用のシステムがデータの整合性、機密性、可用性を維持でき、検証済みの環境でEUDAMEDインターフェースとのデータ交換をサポートできることを確認してください。atrify はWEB画面入力、エクセルデータ・アップロード、API連携という3つの異なるデータ入力方法でのソリューションを提供しており、すべての検証済み環境に準拠し、労力の削減を目指しています。

6.データ送信の準備:
EUDAMEDは、UDI、認証、臨床調査、市販後調査情報などの様々なデータ要素の提出を義務付けています。
EUDAMEDの要求事項の検証(Verification)やデータ妥当性検証(Validation)を考慮して、タイムリーかつ正確なデータ提出を保証するための包括的な計画を作成します。atrify UDIソリューションは、すでに数年前から稼働しており、貴社をサポートします。

7.データの正確性と一貫性を検証:
EUDAMEDにデータ送信する前に正確性、一貫性、確立されたデータ標準への準拠を確認するために徹底的なチェックを行ってください。内部検証プロセスと品質保証措置を導入して、エラーや不一致のリスクを最小限に抑えます。atrify UDIソリューションを使用すると、データ検証機能により、送信前にデータの正確性、品質、規制遵守を確認できます。

8.従業員と関係者をトレーニング:
従業員と関係者がEUDAMEDの要件、データ提出手順、関連するスケジュールに関する適切なトレーニングを受けられるようにしてください。必要な知識とスキルをチームに提供することで、全体的なコンプライアンスを強化し、準備プロセスを合理化できます。

9.EUDAMEDの開発に関する最新情報を入手:
常に警戒し、最新情報を入手してください。EUDAMEDに関して規制当局が提供する最新情報、ガイダンス文書、または説明を追跡してください。関連する業界ニュースを定期的に監視し、フォーラムやネットワークに参加して経験や洞察を同僚と共有します。atrifyでは、これらすべての変更に関する情報を入手できるため、EUDAMED準拠の最新情報を毎日インターネットでチェックする「監視して見つける」戦略を回避できます。

10.外部の専門家と協力する:
自社の力だけに頼るのではなく、大規模で多様なメーカーコミュニティと協力して獲得したatrifyの専門知識を活用してください。atrifyの専門知識と経験は、貴社に貴重なガイダンスを提供し、複雑な要件に対処したテスト、実稼働、最新のEUDAMED開発状況を把握するためにEUDAMEDへのスムーズな移行を確実に実施するのに役立ちます。

EUDAMEDの導入準備には、積極的なアプローチと細部への細心の注意が必要です。
上記の10の重要なポイントからなる包括的なチェックリストに従うことで、強固なコンプライアンス基盤を確立し、EUDAMEDシステムとのシームレスな統合を確保できます。貴社製品が欧州連合内で中断のない市場アクセスを確保するために、土壇場での障害物を回避し、早期の準備が重要であることを忘れないでください。

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EUDAMED Data Dictionary Version 2.10

2023年5月時点での「EUDAMED Data Dictionary(データ項目一覧)」最新版は、バージョン2.10です。

Data Dictionaryについては、こちらの記事を参照してください。

EUDAMED Data Dictionary v2.10 の 更新履歴のシート

◆データディクショナリに関する投稿はこちらからどうぞ◆

EUDAMED Data Dictionary Version 2.9・・・ データディクショナリの内容について

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1WorldSyncのatrify社買収について(2023年5月9日発表)

2023年5月9日(現地時間)に、米1WorldSync社の独アトリファイ社買収に関するニュースリリースが発表されました。アトリファイが発表した資料(英文)はこちらです。

2019年7月当時、1WorldSync, GmbH(現アトリファイ) 社は、GS1ドイツが、1WorldSync, Holdings社から100%子会社として買収し、社名をatrify, GmbHに変更しました。またその際、1WolrdSync, Holdings社は、IT関連専業の投資会社「Battery Ventures」が、GS1アメリカから買収し、1WorldSyncとして事業活動していました。

今回の買収で、アトリファイの株主は、GSドイツ100%から米1WorldSync100%に変更されますが、アトリファイ社は今後も事業会社として継続し、既存サービスについても継続してサービス提供させていただきます。

2023年5月9日発表のアトリファイの新ロゴ(a 1WorldSync companyが追加)
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レガシーデバイスの認証有効期間延長について(3)

レガシーデバイスの認証期限については、2023年2月16日の欧州議会で可決されましたが、その後、3月20日付でEU官報(オフィシャル・ジャーナル)に掲載されましたので、正式に法改正されました。L80 P24-29 に記載されています。

またECの公式サイトに、今回の改正内容の詳細を記載した冊子が発行されました。

EXTENSION OF THE MDR TRANSITIONAL PERIOD AND REMOVAL OF THE ‘SELL OFF’ PERIODS

今回の法改正で、レガシーデバイスは条件によって、Class III、 IIb(インプラント) は、2027年12月31日、Class IIb(インプラント以外)、IIa、 I は2028年12月31日まで、認証期限が延長されました。MDRへ切替予定で既にNBへ認証取得申請中のデバイスは、原則すべて延長対象となります。

尚、EUDAMED UDIモジュールの登録期限(予定)とされる2026年4-6月期以降も、レガシーデバイスの認証期限が有効となることから、対象となるレガシーデバイスは、EUDAMED UDI登録が必須となります。

◆レガシーデバイス認証有効期間延長に関する投稿はこちらからどうぞ◆

レガシーデバイスの認証有効期間延長・・・ 期限延長の背景、議会への提案事項

レガシーデバイスの認証有効期間延長(2)・・・ EU議会で可決により正式決定

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