EUDAMED DTX接続設定の変更

2023年6月にリリースされたEUDAMED v2.11 からDTX接続時の手続き方法が大きく変更されました。これまでは、EUDAMEDアクター登録サイトで発行できるM2M「TOKENコード」を接続するサードパーティ事業者側に登録すれば、EUDAMEDとの通信(UDI送信等)が可能でしたが、セキュリティの観点からTOKENコード設定だけでは不十分との判断により、v2.11の更新で「より厳密な」環境設定が求められるようになりました。

主な変更点として、

1.Playgroundサイトへの必要文書のアップロードと、テストの実施

2.Productionサイトへの必要文書のアップロードと、EUDAMED側の承認

の2点となります。リンク先はEUDAMEDのPlaygorund、Productionの各「ユーザーガイド」です。

必要文書には、アクター(医療機器メーカー様)と、サードパーティ事業者が契約していることを証明する「3rd Party Agreement」(双方のサインが必要)と、アクターがサードパーティ事業者を通じてEUDAMEDへ送信することを宣言する「Business Justification」(アクターのサインが必要)があります。また、Productionサイトには、テストが完了したことを証明する「Proof of Testing」(XMLの送信、返信コード)のアップロードが求められます。

これまでEUDAMEDでは、Playground(テスト環境)の利用については任意となっていましたが、今回の変更により、DTX接続で利用する場合は、Playgroundへのアクター登録とUDIのテスト登録が必須となり、上記の書類をアップロードしてEUDAMED側に承認されてからProduction(本番環境)を利用できるようになりました。

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EUDAMED準備のためチェックリスト

アトリファイ社のHP内に掲載されたEUDAMED準備における10個のチェックリストについて、翻訳文を掲載します。

原文投稿は、下の画像にリンクをつけてあります。

EUDAMEDの準備を簡単に: 10の重要なステップを含むチェックリスト
2023年5月19日

1.EUDAMEDの範囲と目的の理解:
最初のステップは、EUDAMEDを構成する6つのモジュール、その目的、定義、相互作用を全体的に理解することです。
ーEUDAMEDは、米国GUDIDのような単なるUDI登録データベースをはるかに超えていますー

2.関連する規制の理解:
EUDAMEDは、「MDR」および「IVDR」の重要な要素です。時間をかけて要件、期限、コンプライアンスへの取り組みに影響を与える可能性のある更新や修正など、規制をよく理解してください。
ー規制の改正、委任された法律、実施法、および欧州委員会によって発行されたガイドラインを含みますー

3.自社の義務と役割決定:
メーカー、欧州代理人、輸入業者、その他役割など、EUDAMEDシステム内での役割を決定します。
規制要件を確実に遵守するために、自社の役割に関連する具体的な義務と責任を理解してください。

4.デバイスデータの収集と整理:
UDI-DIBasic UDI-DI、製品の詳細、ラベル、臨床証拠など医療機器に関連する必要なすべてデータを収集します。
この情報を整理するための構造化されたアプローチを開発し、EUDAMEDのデータ提出要件に容易にアクセスできるようにします。この分野の独自の経験を活用したatrifyの項目分析サービスは、どのデータがまだ不足しているかを特定することに役立ちます。

5.堅牢なデータ管理システムの実装:
EUDAMEDに必要な情報を取得、保存、更新するための堅牢なデータ管理システムを確立します。
ご使用のシステムがデータの整合性、機密性、可用性を維持でき、検証済みの環境でEUDAMEDインターフェースとのデータ交換をサポートできることを確認してください。atrify はWEB画面入力、エクセルデータ・アップロード、API連携という3つの異なるデータ入力方法でのソリューションを提供しており、すべての検証済み環境に準拠し、労力の削減を目指しています。

6.データ送信の準備:
EUDAMEDは、UDI、認証、臨床調査、市販後調査情報などの様々なデータ要素の提出を義務付けています。
EUDAMEDの要求事項の検証(Verification)やデータ妥当性検証(Validation)を考慮して、タイムリーかつ正確なデータ提出を保証するための包括的な計画を作成します。atrify UDIソリューションは、すでに数年前から稼働しており、貴社をサポートします。

7.データの正確性と一貫性を検証:
EUDAMEDにデータ送信する前に正確性、一貫性、確立されたデータ標準への準拠を確認するために徹底的なチェックを行ってください。内部検証プロセスと品質保証措置を導入して、エラーや不一致のリスクを最小限に抑えます。atrify UDIソリューションを使用すると、データ検証機能により、送信前にデータの正確性、品質、規制遵守を確認できます。

8.従業員と関係者をトレーニング:
従業員と関係者がEUDAMEDの要件、データ提出手順、関連するスケジュールに関する適切なトレーニングを受けられるようにしてください。必要な知識とスキルをチームに提供することで、全体的なコンプライアンスを強化し、準備プロセスを合理化できます。

9.EUDAMEDの開発に関する最新情報を入手:
常に警戒し、最新情報を入手してください。EUDAMEDに関して規制当局が提供する最新情報、ガイダンス文書、または説明を追跡してください。関連する業界ニュースを定期的に監視し、フォーラムやネットワークに参加して経験や洞察を同僚と共有します。atrifyでは、これらすべての変更に関する情報を入手できるため、EUDAMED準拠の最新情報を毎日インターネットでチェックする「監視して見つける」戦略を回避できます。

10.外部の専門家と協力する:
自社の力だけに頼るのではなく、大規模で多様なメーカーコミュニティと協力して獲得したatrifyの専門知識を活用してください。atrifyの専門知識と経験は、貴社に貴重なガイダンスを提供し、複雑な要件に対処したテスト、実稼働、最新のEUDAMED開発状況を把握するためにEUDAMEDへのスムーズな移行を確実に実施するのに役立ちます。

EUDAMEDの導入準備には、積極的なアプローチと細部への細心の注意が必要です。
上記の10の重要なポイントからなる包括的なチェックリストに従うことで、強固なコンプライアンス基盤を確立し、EUDAMEDシステムとのシームレスな統合を確保できます。貴社製品が欧州連合内で中断のない市場アクセスを確保するために、土壇場での障害物を回避し、早期の準備が重要であることを忘れないでください。

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EUDAMED Data Dictionary Version 2.10

2023年5月時点での「EUDAMED Data Dictionary(データ項目一覧)」最新版は、バージョン2.10です。

Data Dictionaryについては、こちらの記事を参照してください。

EUDAMED Data Dictionary v2.10 の 更新履歴のシート

◆データディクショナリに関する投稿はこちらからどうぞ◆

EUDAMED Data Dictionary Version 2.9・・・ データディクショナリの内容について

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1WorldSyncのatrify社買収について(2023年5月9日発表)

2023年5月9日(現地時間)に、米1WorldSync社の独アトリファイ社買収に関するニュースリリースが発表されました。アトリファイが発表した資料(英文)はこちらです。

2019年7月当時、1WorldSync, GmbH(現アトリファイ) 社は、GS1ドイツが、1WorldSync, Holdings社から100%子会社として買収し、社名をatrify, GmbHに変更しました。またその際、1WolrdSync, Holdings社は、IT関連専業の投資会社「Battery Ventures」が、GS1アメリカから買収し、1WorldSyncとして事業活動していました。

今回の買収で、アトリファイの株主は、GSドイツ100%から米1WorldSync100%に変更されますが、アトリファイ社は今後も事業会社として継続し、既存サービスについても継続してサービス提供させていただきます。

2023年5月9日発表のアトリファイの新ロゴ(a 1WorldSync companyが追加)
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レガシーデバイスの認証有効期間延長について(3)

レガシーデバイスの認証期限については、2023年2月16日の欧州議会で可決されましたが、その後、3月20日付でEU官報(オフィシャル・ジャーナル)に掲載されましたので、正式に法改正されました。L80 P24-29 に記載されています。

またECの公式サイトに、今回の改正内容の詳細を記載した冊子が発行されました。

EXTENSION OF THE MDR TRANSITIONAL PERIOD AND REMOVAL OF THE ‘SELL OFF’ PERIODS

今回の法改正で、レガシーデバイスは条件によって、Class III、 IIb(インプラント) は、2027年12月31日、Class IIb(インプラント以外)、IIa、 I は2028年12月31日まで、認証期限が延長されました。MDRへ切替予定で既にNBへ認証取得申請中のデバイスは、原則すべて延長対象となります。

尚、EUDAMED UDIモジュールの登録期限(予定)とされる2026年4-6月期以降も、レガシーデバイスの認証期限が有効となることから、対象となるレガシーデバイスは、EUDAMED UDI登録が必須となります。

◆レガシーデバイス認証有効期間延長に関する投稿はこちらからどうぞ◆

レガシーデバイスの認証有効期間延長・・・ 期限延長の背景、議会への提案事項

レガシーデバイスの認証有効期間延長(2)・・・ EU議会で可決により正式決定

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2023年4月27日(木)オンラインセミナー申込受付中

ヘルスケア分野向け専門セミナーを企画・運営している(株)情報機構 様のオンラインセミナーにおいて、

「EUDAMED(欧州医療機器データベース)UDIデータ登録に、どのように取り組むべきか ~国内企業の実施例からUDIデータ登録までの準備、注意点等を徹底解説~」

と題したセミナーを、4月27日(木) 13:00-16:30の時間で実施いたします。詳細はこちらからご覧ください。

EUDAMEDへUDI登録を実施するにあたっての弊社の経験を元に、準備事項、注意点、進め方などを解説するとともに、EUDAMED UDIモジュールに登録された実例をご覧いただくことで、EUDAMED利用に関する理解を深め、実践に役立つ内容となるよう準備を進めております。見逃し配信ありますので、後日ポイント部分だけをご覧いただくことも可能です。

以下のような企業様は是非ご検討ください。

  • UDI登録に関する情報収集、関心のある企業様
  • EUDAMEDの最新状況を知っておきたい企業様
  • EUDAMEDのUDI登録をどのように進めて行けばいいのか困っている企業様
  • EUDAMEDへのUDI登録をこれから実施、または検討されている企業様
  • EUDAMEDへのUDI登録は一旦完了したが、登録内容や、今後の登録に不安のある企業様
  • レガシー(MDD/IVDD/AIMDD)デバイス登録は完了したが、MDR/IVDRへの移行手続きに不安のある企業様
  • EUDAMED含む多くの国のUDI登録規制にどのように対応していけば良いかを検討されている企業様 など

受講申込にあたり、受講料が「11,000円引き(税込)」となる講師紹介割引コードがあります。申込の際に

【講師紹介割引番号:A-521】

をご利用ください。

1社2名様以上で受講の場合は、講師紹介割引と同時申込割引を併用できますので、1名様につき「13,200円引き(税込)」となります。

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レガシーデバイスの認証有効期間延長について

欧州域内で既に流通している医療機器の中で、2024年5月26日までにMDD/AIMDDの認証期限を迎える製品は、22,793あると言われていますが、期間的な問題や、NB(ノーティファイボディ)の物理的な数の制約などにより、同期間でMDR認証を受けられる製品は7,000程度と見込まれています。2022年6月に、Employment, Social Policy, Health and Consumer Affairs (EPSCO:雇用、社会政策、健康、消費者問題)評議会で、この問題の指摘を受け、Medical Device Coordination Group (MDCG:医療機器グループ)は、2022年8月26日にMDCG 2022-14 というポジションペーパーを発刊し、NBの能力向上や製造業者の準備強化のための「19の取り組み」を文書化しました。

ポジション ペーパーMDCG 2022-14 は全面的に支持されていますが、追加措置として、緊急で的を絞った立法化が複数の加盟国、利害関係者などから求められている状況の中、2022 年 12 月 9 日に欧州委員会は EPSCO 理事会に解決策の提案を行いました。提案内容は以下のものが含まれます。

  • 高リスクのデバイス (Class III、 Class IIb(インプラント)) は、2027年まで移行期間を延長
  • 低リスクのデバイス (Class IIb(インプラント以外)、IIa、 Class I(一部)) は、2028年まで移行期間を延長
  • 2025年5月の「販売期限条項」の廃止

移行期間の延長は、MDD/AIMDDに基づいて発行された証明書の有効期間の延長と組み合わせること意味しています。適用条件は、

  • 健康と安全に許容できないリスクを持っていない
  • 設計または意図された目的に重大な変更が加えられていない
  • 製造業者が認証プロセスを開始するために必要な手順をすでに実行している

等となっています。製造業者は、MDR への品質管理システムの適応、および特定の期限 (例: 2024 年 5 月 26 日) までに、NBによる適合性評価のための申請書の提出、またはNB側の受理などが含まれます。

では、EUDAMEDとの関連については、どのように考えるべきでしょうか?

今回の期限延長は、レガシーデバイスに限られます。また、EUDAMEDのリリーススケジュールや、MDR/IVDR認証製品の登録期限には、一切影響を与えません。さらに、2024年5月で認証期限が切れるレガシーデバイスについては、UDI登録義務化(2026年第2四半期)より前に有効性を失うため、EUDAMEDへのUDI登録が必要ないとの判断も可能でしたが、2027年まで延長されたことで、MDRへの切替有無にかかわらず、レガシーデバイスのUDI登録が必要になることを意味します。

atrify社のニュース記事にも本件に関する記載があります(英語)。

◆レガシーデバイス認証有効期間延長に関する投稿はこちらからどうぞ◆

レガシーデバイスの認証有効期間延長(2)・・・ EU議会で可決により正式決定

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レガシーデバイスの認証有効期間延長について(2)

2023年1月に欧州委員会によって採択された、医療機器のMDR認証への準拠期限を延長する提案について、2023年2月16日の欧州議会で可決され、認証期限の延長が正式に決定しました。

2023年2月16日の欧州議会投票結果(537対3で可決)

2023年1月6日に発表されたプレスリリース(英語)はこちらから確認できます。

同1月6日付の提案文書はこちらのから確認できます。

同1月19日に締切られた公式サイトには、多くのフィードバックコメントが掲載されています。詳細はこちらから確認できます。

ノーティファイボディ(NB)に、MDRへの変更手続きを実施しているMDD/AIMDDのレガシーデバイス製品は、EU官報に公開された日以降、2028年(Class I(一部), IIa, IIb(インプラント以外))、または2027年(Class IIb(インプラント), III)の12月31日までレガシーデバイスとして認証期間が延長されます。延長された製品は、全てEUDAMEDへのUDI登録対象となりますので、該当製品がある医療機器メーカー様は、早めの登録準備をお薦めします。

◆レガシーデバイス認証有効期間延長に関する投稿はこちらからどうぞ◆

レガシーデバイスの認証有効期間延長・・・ 期限延長の背景、議会への提案事項

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Enumerations v2.9

EUDAMED Data Dictionary の列項目の中に「ENUM Reference Code」というものがあります。こちらの項目は、EUDAMEDで使用できる「コード名」と「指定された値」が定義されており、正しい値をセットしないとエラーとなります。

この「ENUM Reference Code」にも定義書が存在しており、2023年1月現在、EUDAMED Productionサイト(本番環境)と同じv2.9が最新版で、PDFファイルが下記にアップされています。

EMUN Reference Codeの項目例として、

Field IDField Label項目内容ENUM Reference CodeENUM Values
FLD-UDID
-291
Issuing Entity UDI-DIUDI-DIの発行元機関コードENUM_MDR
_IssuingEntity
GS1、HIBCC、ICCBBA、IFA、
EUDAMED
発行元機関の詳細はこちら
FLD-UDID
-148
Type of UDI-PI適用可能な UDI-PI (プロダクション識別子) のタイプENUM_UDID
_Production
Identifier
BATCH_NUMBER、
EXPIRATION_DATE、
MANUFACTURING
_DATE、
SERIALISATION
_NUMBER、
SOFTWARE
_IDENTIFICATION
FLD-UDID
-149
Nomenclature codeEMDNコードENUM_UDID
_MDN
(DDv2.9内ではEMDN Nomenclatureと記載だが、
誤記載と思われます)
6460個の中から選択
EMDNの詳細はこちら
ENUM Reference Code(項目名)と値の例

があります。上記の例以外では、

  • サイズ単位(FLD-UDID-195:/Measure Unit、 ENUM_UDID_ClinicalSizeMeasureUnit、値数174個)
  • 重大な警告タイプ(FLDーUDID-212:Critical Warnings type、 ENUM_UDID_CriticalWarnings、値数423個)

など計30個程度のENUM Reference Codeが定義されています。

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EUDAMED Data Dictionary Version 2.9

2022年12月時点での「EUDAMED Data Dictionary(データ項目一覧)」最新版は、バージョン2.9です。

以前はv5.0というものが公開されていましたが、その後、v6.0⇒v7.1⇒v8.0⇒v8.1と更新され、2022年3月リリースのバージョンから、EUDAMEDのサイトバージョンと一致させるルールに変更となり、v8.2に相当するものが「EUDAMED Data Dictionary v2.7」として公開されました(EUDAMEDのサイトバージョン(リリース)も、この時点でv2.7)。

2022年12月5日にEUDAMED Production(本番環境)は、「EUDAMED リリース2.9」に更新されましたので、データディクショナリもv2.9が公開されています。変更点は、「Version history」シート内に記載されています。

「EUDAMED Data Dictionary」のエクセルファイルは、複数シートから構成された複雑な定義書となっていますが、大きくわけて、

  • 1.全体説明
  • 2.各種定義
  • 3.デバイス登録の項目定義 

から構成されています。atrifyでは、貴社製品のタイプ(MDR, IVDR, レガシー, SPPなど)、クラスによって、どの項目に、どんな値をセットするのかを丁寧に解説・レビューする「項目分析サービス(attribute analysis)」を提供しております。日本の医療機器メーカー様でも多数の実績があるサービスとなっています。各デバイス登録の項目定義書にある「Occurence」については、こちらのページをご確認ください。

「Occurence」については、単一項目での繰り返し可(不可)と、項目グループでの繰り返し可(不可)があるので注意が必要です。

EUDAMED Data Dictionary v2.9 「DD UDI-DI」シートの例
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